株式と心理学
2008年、リーマンショックの影響やサブプライムローン問題、物価の高騰など、様々な要因から世界の株式市場は空前の大幅下落を余儀なくされました。
その中にあって、日本は世界の中でも特に株式市場が大きく傾いており、その打撃はそのまま景気の悪化にダイレクトに繋がっていきました。
株式市場の大きな打撃は2009年現在においても引きずられており、日経平均はいまだ1万円を割り込んでいます。
そんな株式市場ですが、それでも投資家は株取引を止めようとはしません。
もちろん、痛い目にあった一見さんなどは、すぐに手を引いたでしょう。
ですが、これまで何年も株式市場を見てきた投資家は、このタイミングでは株取引を止めない人がほとんどのようです。
それは一体なぜなのでしょう。
そこには、心理学的アプローチによっても立証される、確かな動機が存在しています。
まず、その前に株式と心理学の関係について考えていきましょう。
株式というものは、実は心理学と非常に密接な関係があります。
株式というと経済学というイメージがありますが、経済学そのものが心理学と密接に繋がっているので、結局は株式と心理学の間に深い繋がりがあるということになるのです。
株式投資がなぜ心理学と繋がっているかというと、株価というものは人間によって生み出されるからです。
株価を決めるのは投資家であり、投資家の心理なのです。
ここに大きな接点が生まれます。
株価は個人心理と集団心理の統合によって決定するといっても良いでしょう。
勝っている時の心理
株式投資は、心理学上とてもわかりやすい心理の動きの宝庫です。
個人レベルの投資家でそれを見た場合、より顕著になると言えるでしょう。
では、心理学的な面から、個人投資家の心理を見ていきましょう。
まず、買っている際の個人投資家の心理について、心理学的な見解を示していきます。
株式取引において、利益が出ている状態の株式投資家は、非常にポジティブな心理になります。
これは、初心者でも上級者でも同じです。
もちろん、自制心をしっかり持つことでコントロールはできますが、それはあくまでも程度の差で、ポジティブ心理をなくす事はまずできません。
そして、その心理になった場合、多くの危険が伴います。
ポジティブな状態というのは、人間の心身に関して与える影響は非常に良く、日常生活においても好調を維持できます。
ですが、株取引においては、視点が窮屈になることが多くなるという面もあります。
また、イケイケ状態なので、危険な勝負に出ることもあります。
例えば、15,000円の株価の銘柄を100株買ったとします。
その株が15,500円になると、5万円(−税金、手数料)の利益が出ます。
まだ利益確定していない状態でも、その利益を既に手にしている感覚を得てしまいます。
そして、その利益を確保しているような心持で、さらにそれ以上の利益になるように保持し続ける、という心理になってしまいます。
結果、なかなか持ち株を売る事ができなくなります。
そして、その持ち株の株価が下がってしまい、15,400円、15,300円となっていった時が一番の問題です。
既にこの前に利益を得た気分になっていたことで、まだ利益が出ている状態なのに、損した気分になり、取り戻したくなる心理が働き、売れなくなってしまうのです。
ポジティブ心理は時として非常にネガティブな思考に変換される事があるのです。
負けている時の心理
株式取引では、初心者の方は勝っている場合より負けている場合の方が長い期間体験する事になるケースが多いでしょう。
ビギナーズラックというのも最初だけで、基本負けながら学ぶ事になります。
では、株式投資において、投資家が負けている状態、損失が出ている状態の場合、心理学的にどのような状態に陥るでしょうか。
実は、心理学的には、日本人の性格は負けている時のほうが株式取引をしている最中に関してだけは、健全な心を保持できたりします。
普通、損失が出ている場合、心理学的にストレスが溜まっている状態となり、心身ともに不健全な状態になると言われています。
実際、大きく損失が出ていればそうなり、実生活にも大きな影響を与えてしまうでしょう。
そうなってしまうと、仕事も手に付かず、余り寝付けず、健康面、そして人生的にも大きな損失となってしまいます。
ですが、これはあくまでも大きな損失の場合です。
しっかりと損切り設定をしており、その範囲内の損失状況であれば、決してネガティブ思考ばかりではありません。
なぜなら、人間は守りに入っている場合の方がストレスを感じるからです。
例えば、15,000円で買った株を100株保持しているとして、現在15,100円だったとします。
少し利益が出ている状態ですが、同時に落ち着かない状況でもあります。
どこで売るか、というところがなかなか踏ん切りがつかない状態ですし、もしここから落ちたら一気に崩れ、大きな損失が出るのでは、というネガティブ思考が働くのです。
一方、14,700円くらいに株価が落ちている状態は、マイナスであることで多少気分が悪いものの、ここから上がるのではという期待感がポジティブ思考を生みます。
これは、実は少しだけ利益が出ている時は発生しにくい感情です。
逆にかなり利益が出ていると、落とし穴になりかねないポジティブ感情が生まれます。
一番バランスが良いのは、実はちょっと負けている時の状態だったりします。